Q.保育園や幼稚園の歯科検診で何も指摘されなければ安心していいですか?
A.場合によっては見落としの危険もありますし、小さなお子さんの虫歯は進行が早いため、気を抜かずに定期的に歯科医院での検診を受けましょう。
保育園や幼稚園の検診は、大勢の子供達を指定された時間内で見なければなりません。
限られた機材で、また歯科医院とは違った環境で口腔内をチェックしなければならなりません。
そのため場合によっては、小さな虫歯があっても見落としてしまうかもしれません。
また、子供の虫歯は進行が早く、急性の虫歯は色が黒くなることなく、黄色のまま進んでいきます。
その場合見分けるのがとても難しいため、歯科医院の照明の元でなければ、見えないかもしれません。
検診で何も指摘されなかったとしても、定期的に歯科医院で検診を受けましょう。
自治体によっては、治療費が無料だったり、大人よりも安い値段で治療してもらえます。
3ヶ月に1回は歯科医院に行って、口腔内の検査をしてもらいましょう。
全体のクリーニングもしてもらいますが、その時に歯科衛生士からのブラッシング指導を受けましょう。
仕上げ磨きの方法も、教わるようにしてください。
検診の際に何も指摘されなくても、油断することなく毎日の仕上げ磨き、そして定期的な歯科検診を受けましょう。
Q.はえてきた永久歯がギザギザしてます。欠けてるのですか?
A.生えてきたばかりの永久歯はギザギザしているのが普通ですので、心配する必要はありません。
私たちの歯は、3つの組織が1つになって形成されていきます。そのため、生えたばかりの永久歯は3つの小さな山のような、ギザギザが見えます。これを切縁結節と言います。特に上下の前歯はわかりやすく、このギザギザが出ることが多いです。これは正常な歯の形のため、心配する必要はありません。毎日噛み合わせていくうちに、徐々にこの山は咬耗されて平らになっていきます。20代には平らになっていることがほとんどです。
20代超えてもまだ切縁結節が残っている場合、どのような原因があるのでしょうか。
1.噛み合わせの異常
上下の前歯が噛み合わない場合、咬耗されないためギザギザが残ってしまいます。開口(オープンバイト)の方、上顎前突(出っ歯)、下顎前突(下顎が上顎より出ている)などの噛み合わせ異常がある方は、そのまま残ってしまいます。
2.前歯を使用しない
前歯は、ものを噛み切ったりするために使われます。しかし普段から前歯を使用しないと、切縁結節は削れることなくそのまま残ります。
切縁結節は放置しても問題はありません。しかし、審美的に気になるということであれば、切端部を少し削ったり、そこにプラスチックを盛ってギザギザを目立たなくさせるなどの方法があります。
Q.3歳で歯ぎしりをします。歯科受診は必要?
A.基本的には問題ありませんが、気になるようであれば一度受診することをお勧めします。
子供の歯ぎしりの原因にはいくつか考えられます。
1.噛み合わせの異常
3歳ごろは乳歯が全て生え揃う時期です。この時に噛み合わせに異常があると、身体はそれを感知してバランスを保とうとします。その結果、歯ぎしりが起きると考えられます。噛み合わせからくる歯ぎしりは夜間だけでなく、昼間にも見られます。
2.ストレス
大人の歯ぎしりの原因で多いのはストレスですが、子共の歯ぎしりの原因にもなる場合があります。夜寝ている間だけ歯ぎしりしている場合は、ストレスが原因となっている可能性があります。
小さなお子さんの歯ぎしりは、基本的にはそのまま様子を見ます。しかし、以下の状況では、治療が必要な場合もあります。
・6歳を過ぎても歯ぎしりが続く
噛み合わせからくる歯ぎしりは、身体が無意識のうちに噛み合わせを調整しようとするために起こります。永久歯が生えてくるころには収まることが多いです。そのため、6歳過ぎても歯ぎしりが収まらない場合は、別の原因も考えられます。
・歯の噛み合わせの部分がすり減っている
・神経への影響
・顎関節症
基本的には様子を見て問題ありませんが、気になるようであれば、一度歯科医師に相談しましょう。
Q.歯が一部だけ小さい気がしますが大丈夫ですか?
A.矮小歯だと思われます。基本的にそのまま様子を見ても問題はありませんが、定期的に歯科医院で検診してもらいましょう。
「矮小歯」は、あまり馴染みのない言葉だと思います。矮小歯とは、通常の歯と比べて小さい歯のことを指します。多くの場合、上の前歯の2番目の歯が矮小歯になる確率が高いです。原因はいまだに不明ですが、ビタミンDの欠乏や、下垂体機能低下などが考えられています。多くの場合、経過観察になります。しかし、場合によっては治療を勧められることもありますので、よく歯科医師と相談しましょう。
矮小歯があることによって起こるトラブルには、以下のものがあります。
・すきっ歯
本来の歯よりも小さいため、スペースが余ってすきっ歯になりやすいです。
・噛み合わせ異常
本来の歯の形よりも小さいため、下の歯との噛み合わせがズレてしまうことがあります。
矮小歯の治療には以下のものがあります。
・矯正治療
・ダイレクトボンディング法
これはコンポジットレジンと呼ばれるプラスチックを直接矮小歯に盛って、通常の歯の大きさに見せかける方法です。
・セラミッククラウン
矮小歯の上からクラウンと呼ばれる冠をかぶせる方法です。
気になる方は、一度歯科医師と相談しましょう。
Q.舌磨きはした方が良い?
A.1日1回、朝に舌磨きをしましょう。
朝、自分の舌を鏡でみると何色をしていますか?うっすらと白っぽい色をしているのは正常ですが、人によっては真っ白だったり、茶色だったり、さらには黒色の方もおられます。その正体は、「舌苔」と呼ばれる汚れです。舌の表面には無数のヒダが存在しており、そこに食べ物のカスや粘膜の垢などが溜まります。そのため口腔内細菌が繁殖しやすい環境となります。この舌苔は、口臭の原因となります。
舌磨きを行うときは、いくつかの注意点があります。
・強い力で行わない
舌の粘膜は弱いため、力が強いと傷つける恐れがあります。また嘔吐反射を引き起こしかねません。優しい力で行いましょう。
・専用の舌ブラシを使用する
いつも使用している歯ブラシは、粘膜を傷つける恐れがあります。専用の舌ブラシを使用してください。
・奥から手前へ一方方向に磨く
舌ブラシを舌の根元の方に当ててから、優しく手前に向けて動かしましょう。奥から手前に、数回動かしてください。
・1日1回朝に行う
歯磨きは毎食後しますが、舌磨きは1日1回で十分です。やり過ぎると、余計汚れがつきやすくなったり、粘膜を傷つける恐れがあります。起床後に、磨くようにしましょう。
Q.年齢によって歯ブラシは使い分けるべき?
A.幼少期は乳歯用の歯ブラシ、大人になってからはそれぞれのお口の中の状態に合わせて、歯ブラシを変えていきましょう。
・乳幼児期
この時期は歯ブラシの習慣に慣れさせる必要があります。
乳歯はとても小さく、お口の中の粘膜も弱いため、ヘッドの小さなものを選ぶようにしてください。
お子さんが持ちやすいようにブラシの柄の部分が握りやすいものもあります。
また仕上げ磨き用の歯ブラシを別に用意してください。ヘッドが小さく、握りやすいものを選びましょう。
・学童期
この時期は乳歯と永久歯が混在するため、磨きにくい時期でもあります。お子さん自身が使う歯ブラシは、ヘッドの小さく、持ちやすいものを選んでください。
毛の硬さは普通から柔らかめを選ぶようにしましょう。
・成人期〜高齢期
成人後は、お口の中の状態に応じて歯ブラシを選ぶ必要があります。
例えば、歯周病の方が毛先の硬い歯ブラシを使用すると、痛くて磨けません。柔らかいものを使用しましょう。
また、高齢の方や手が不自由な方は、ヘッドが大きく、柄の太いものを選びましょう。
Q.虫歯菌ってなあに?
A.虫歯菌は口腔内に常在しており、虫歯の原因となる菌です。
私たちのお口の中には、300〜400種類もの細菌が生息しています。その中に、「ミュータンス菌」や、「ラクトバチラス菌」という代表的な虫歯菌も常在しています。
・ミュータンス菌
ミュータンス菌は、虫歯菌の中でも代表的な菌です。ミュータンス菌は、プラーク(歯垢)の中に潜んでおり、お口の中に入ってきた食べ物や飲み物の中に含まれる“ショ糖”を分解しながら増殖していきます。分解してている時に酸を作り出しますが、その酸によって歯の表面のエナメル質が溶かされると、徐々に穴が空いていきます。これが虫歯です。
・ラクトバチラス菌
ラクトバチラス菌は、乳酸菌の一種で、お口の中だけでなく腸内にも生息する菌です。このラクトバチラス菌は、虫歯を進行させる働きがあります。なぜなら虫歯の中に生息するからです。ミュータンス菌によって歯に穴が空いた部分に生息するのです。そこでショ糖を餌にして増殖していきます。
虫歯を作らないために、日頃から歯磨きを丁寧に行ったり、間食の時間を決めましょう。また定期的に歯科医院で検診してもらいましょう。
Q.虫歯を放っておいたら痛みが無くなりました。治ったの?
A.いいえ、神経が死んでしまった可能性があります。すぐに歯科医院に行きましょう。
歯の中には「歯髄」と呼ばれる知覚を司る神経があります。そのため、虫歯が神経の近くまで進むと冷たいものでしみたり、痛みを感じます。その状態を放置すると、夜眠れないほどの痛みに変わっていきます。さらにその状態を放置するとやがて痛みは収まります。それは、歯髄が死んでしまって、痛みを感じなくなったからです。
歯髄は歯に栄養や水分を供給しています。そのため歯髄が死ぬと、以下のデメリットがあります。
1.今後その歯に何かが起きても気づかない
2.歯の寿命が短くなる
3.歯の色が変わる
4.歯がもろくなる
基本的に、虫歯は自然治癒することはありません。痛みが消えたということは歯髄が死んでしまった可能性が高いです。そのまま虫歯を放置すると、最悪の場合その歯を抜くことにもなり兼ねません。痛みが出ているのなら必ず早めに歯科医院に行き、治療をしてもらいましょう。
Q.虫歯にまったくかからない人っているの?
A.全くかからない人という方はいませんが、なりにくい人はいます。
以下の要素は虫歯のなりにくさ、なりやすさに関係します。
1.細菌数
虫歯菌の代表的なものは、ミュータンス菌です。ミュータンス菌は、お口の中に入ってきた食べ物や飲み物の中に含まれるショ糖を分解しながら増殖します。この時に作り出される酸によって、歯のエナメル質が溶かされ、徐々に穴が空いて虫歯ができます。このミュータンス菌は人によって数が違い、治療していない虫歯がある方はミュータンス菌の数も多いため、他の歯も虫歯になりやすいです。逆に、今まで虫歯にほとんどなったことのない方や、すでに治療済みの方はミュータンス菌数が少ないため、虫歯になりにくいでしょう。
2.食習慣
食習慣は虫歯のなりやすさと関係しています。だらだらとお菓子やジュースを飲む習慣のある方は、虫歯になりやすいです。逆に、きっちりと時間を決めて間食する方や、寝る前に食べたり飲んだりしない方は、虫歯になりづらいでしょう。
3.歯磨き習慣
やはり歯磨きがきちんとできていると、虫歯になりにくいです。プラーク(歯垢)の中には多くの細菌が潜んでいるため、歯ブラシでしっかりと落とすことが大切です。デンタルフロスを使って、歯間部の汚れも落としましょう。
Q.乳歯が虫歯になっても抜けるのだから放っておいていい?
A.乳歯の虫歯は、その後生えてくる永久歯に影響を与えるため放置するのではなく、必ず治療しましょう。
乳歯は6歳前後から、徐々に永久歯へと生え変わります。そのため乳歯の虫歯を放置しても問題ないと考える方がおられます。しかし、乳歯の虫歯を放置すると以下の危険があります。
1.永久歯が虫歯になりやすい
乳歯に虫歯があると、お口の中の虫歯菌の数は増殖していきます。生えたばかりの永久歯はまだ柔らかいため、虫歯菌が多いほど虫歯になるリスクは高いです。
2.永久歯の歯並びが悪くなる
乳歯の虫歯が大きい場合、抜歯せざるを得ないことがあります。早期に乳歯がなくなってしまうと、その後生えてくる永久歯のスペースを確保できなくなり、永久歯が本来の位置よりもズレて生えてくる確率が高くなります
3.顎骨の発達が悪くなる
乳歯に虫歯ができると、自然と片側だけで噛むようになります。そのため顎骨や筋肉の発達に左右差が出ます。
乳歯の虫歯を予防するために、以下のことを心がけましょう。
1.毎日仕上げ磨きをする
2.デンタルフロスで歯と歯の間の汚れを落とす
3.フッ素入りの歯磨き剤を使用する
4.夜寝る前に甘いものを与えない